先輩就農者インタビュー

自分らしく生きる手助けを
新海智子さん

レタス、白菜ほかJA長野八ヶ岳川上村

自分らしく生きる手助けを

「あなたは疲れたとき、誰かの許可なく休むことはできますか?」

「忙しくても、自分のための時間を取ろうとしていますか?」

「農業の仕事の中で、自分の貢献を、自分で認められていますか?」

川上村で夫とその両親とともにレタス、白菜など高原野菜を栽培する新海智子さん。主宰するオンラインサロンで知り合った女性農業者とともに、キャリアコンサルタントとして専門家らとつくった「農業女性のハピネス診断」の一節です。都会で育った新海さんが、農家に嫁いで初めて農村に入り、戸惑った経験が反映されています。

冒頭の問いには「自分の頑張りに気付けた」「夫婦で話すようになった」との共感が寄せられ、「農繁期になると決まって崩していた体調を整える行動変容のきっかけになった」との声も。農業女性が置かれた現状と、改善に向けた手掛りが表れています。

「『ハピネス診断』で得られるのは“評価”ではなく、“気づきと対話のきっかけ”。効率や経済のものさしだけでは見えにくい、心の充足や関係の豊かさにも光を当てることで、持続可能な農業の未来を描きたいのです」と語る新海さん。

「今になれば、夫や義理の両親、地域の人はもとより、産地形成の基盤を築いた先人たちに感謝しかないと思いますが、当時はそこまで考えが及びませんでした。主体的に農業を選んだわけではないとの思いが拍車をかけたのかもしれません」と振り返ります。

“嫁はこうあるべき”という声が聞こえる中で、他人と比べられているように感じ、気持ちが沈むこともありました。ほどなく授かった子どもの散歩も、周囲の目を避けるようにする始末。抜け出そうとネットで見つけた心理カウンセラーの「聴き方」講座に、すがる思いで参加し、キャリアコンサルタント資格取得に結び付けました。「前を向き、踏み出す勇気が生まれた」と言います。

自分らしく生きる手助けに―と、いずれは「ハピネス診断」専用サイトも開設する計画。まずは5年で3000人に計測してもらうことを目標に、地域発の学びの循環づくりに向けた準備を進めています。地元のJA長野八ヶ岳は新年度、同診断を取り入れる方向で検討しています。(2026.1)

PROFILE

新海智子(しんかい ともこ)さん

新海智子さんは埼玉県出身。東京で教育関係の仕事をしていたが、川上村でレタス農家を営む大起さんとの結婚を機に2006年に移住。農作業のかたわら、「農業女性のハピネス診断」の取組も。

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